葦風の記録103
次の日。わしはまた、のこのこと部室に出かけて行った。
昨日の騒ぎは、瞬く間に知られるところとなり「出雲の暴れん坊」が現れたと話題になっていたそうだ。
そんな話を聞きつけて、あるレギュラーの方が腕をさすって待ち受けていた。わしは当時、全国的な知名度はまるで無かった。無名で生意気で無礼な1年坊主にお灸を据えようということだったらしい。
もちろんわしにとっては、相手に不足があるはずもない。相手はあのトンペイ大のレギュラーなのだ。願ってもない対戦が実現した。
さあ、結果はどうだったのか。
先輩はうなだれていた。
3時間以上にわたる激戦を制し、わしの勝利となったのだ。わしは執念の技を繰り出し、またも派手に逆転勝ちしたのだ。
2日目にしてレギュラーの1人を破り、この日から「出雲の勝負師」と呼ばれるようになった。