葦風の記録47
さて、こうしてわしは全国大会に出場した。
今振り返ってみると、個人戦よりも団体戦の記憶が生々しい。わしは1年生ながら主将で、張り切って出場したからだろう。
一回戦は、山形の高校に勝利。二回戦も、札幌の高校に勝利した。
おぼろげではあるが、わしたちの実力は全国にも通用すると感じた瞬間であった。
しかし三回戦を迎えたその時。わしは厳しい現実を目の当たりにすることになる。
次に当たったのは、関東の雄、麻布高校である。
麻布高校。田舎者のわしでも知ってるくらい、有名な高校であった。選手たちは、そろいのTシャツを着て、都会的に洗練されていて、カッコ良かった。なおかつ、東大の進学率もすげえもんだっただろう。
選手たちは、すさまじく強かった。はっきり言って、わしゃ手も足も出なかった。ぼろくそに負けてしまったのだ。
わしは思い知った。
このままでは いけないー
今の実力では、関東の厳しい予選をくぐった奴らには勝てない。
わしは理由を考えた。そして気がついた。
技術と経験はもちろん、この場に立つまでの覚悟と自信がまるで違うのだ。
わしは敗北感の渦巻くなか、静かに誓った。
来年は、必ず関東代表をぶっ倒す!と。