そろそろ学校辞めて土方でもしようかな、なんて考えていたころ、転機は訪れた。
やはり、わしを救ってくれたのは囲碁だった。
約一年ぶりに、道場に顔を出したのだ。
先生と仲間たちは、変わらず暖かく迎え入れてくれた。わしはなんだか涙が出そうになった。よっぽど心が冷えていたんだよな。
その時、道場には大学生になった先輩たちが遊びに来ていた。
東大囲碁部の主将になった人や、慶応の主将になった人達だった。
カッコよかった。
話を聞くと、まるで別世界のように圧倒的に華やかだった。
わしは、だんだんと生きる目的が見えてきた。そうだ、この人達のようになるんだ。
高校の囲碁部で活躍し、大学の囲碁部でも活躍するのだ。