葦風の記録43

そろそろ学校辞めて土方でもしようかな、なんて考えていたころ、転機は訪れた。

やはり、わしを救ってくれたのは囲碁だった。

約一年ぶりに、道場に顔を出したのだ。

先生と仲間たちは、変わらず暖かく迎え入れてくれた。わしはなんだか涙が出そうになった。よっぽど心が冷えていたんだよな。

その時、道場には大学生になった先輩たちが遊びに来ていた。

東大囲碁部の主将になった人や、慶応の主将になった人達だった。

カッコよかった。

話を聞くと、まるで別世界のように圧倒的に華やかだった。

わしは、だんだんと生きる目的が見えてきた。そうだ、この人達のようになるんだ。

高校の囲碁部で活躍し、大学の囲碁部でも活躍するのだ。