葦風の記録81

それから2週間ほど経って、わしはまた電話した。繋がった。親友のおばあさんだった。一家が全滅して、歳老いた老婆がたったひとり残ってしまったのだ。

おばあさんは、いきなり大声で泣き出した。

「あの子は、あんたのことをいつも自慢してたよ、俺の友は、村一番の天才だって…あんたは今、何をしてんだよ、墓でもまいっておくれよう…」わしに返す言葉は無かった。ただひたすら泣いていた。