葦風の記録7

さて、その翌週。

道場に行ってみると、壁にわしのネームプレートが貼ってあった。

「25級 出雲屋」

とあり、いちばんビリだったが なんだか嬉しかった。

一番上を見ると、七段の人が最高位だった。わしは、「あと32級 上がればいいのか」と素朴に思った。

さて、また先生と対局した。

この日の結果も、今でもよく覚えている。

なんと、ひとつの黒石が生きたのだ。

結果は203目負けだったが、先輩たちが褒めてくれた。「よく1週間で目を覚えたな」と言ってくれた。

当時、日露戦争の「203高地」という映画がヒットしていて、皆に「203高地の男」とからかわれた。